シトロエンの事件簿

未解決事件を推理します。特に世田谷一家殺害事件に注力しています。

世田谷一家殺害事件考察(6) アオキノブオとアンドウの二人組

アオキノブオとアンドウの二人組が,事件の鍵を握っているように見える一方で,どうも解せないのが,この二人組があまり宮澤みきおさん一家のことを知らない点です。今回もアオキノブオとアンドウについて考察してみます。前回は,世田谷一家殺害事件考察 (4)アオキノブオと興信所 - シトロエンの事件簿

 

アオキノブオとアンドウは,宮澤家の知人ではない

興信所に関する調査結果より,アオキノブオとアンドウは宮澤家に関する知識がほとんど無いことが分かります。

1.住所を知らない(世田谷区であることすら正確に知らない)

2.家族構成を知らない(子供の年齢や性別を知らない)

3.その割に,トータル20万円を支払った。(住所調査費:15万円,住民票取得費:5万円)もちろん,思ったより高いと言うことで8月15日〜10月23日までの間,支払いを渋っていたが,最終的には支払った。でも,本籍付きの住民票取得に対する追加5万円は支払わなかった。

4.自力では住所も調べられない

 

▼1.2.より分かることは

住所・家族構成を知らず,みきおさんと泰子さんの名前だけを知っている状態であり,宮澤家が何区に済んでいるかも知らないことから,「祖師谷公園拡張のための東京都による土地買い上げ」の件を知らないことが分かります。(もし,祖師谷公園の隣であると知っていれば,住所ぐらいすぐに割り出せるはずなので。)

当然ながら,

・宮澤家の知人ではない

・宮澤家に出入りした経験がない(少なくとも10月23日までは)

・宮澤家と取引があったわけでもない(少なくとも10月23日までは)

・不動産関係者でもない(祖師谷公園拡張について知らないことから地上げ関係ではない)

といったことが推測できます。

 

▼4.より,

自力で住所も調べられないということから,債権回収などの業務に携わった経験はないということが分かります。つまり,ヤクザのようなプロのアンダーグラウンド集団と言うよりは,ずぶの素人に近いということです。恐らく当初は自力で調べようとしたが,調べきれなかったと言うことでしょう。

 

▼3.より,

高額な謝礼を支払ったが,最終的に本籍付き住民票取得(費用:5万円)は諦めていることから,情報は喉から手が出るほど欲しいが,金に余裕があるわけではない経済状況だということでしょう。また,本籍の有無はさほど重要ではないと判断したか。

  

アオキノブオとアンドウの二人組は一体何者なのか?2000年12月にこの二人組に似た目撃情報が付近の住民から寄せられていることから,宮澤家の住所を知った10月26日以降にさらに宮澤家の周辺を嗅ぎ回っていたのは間違いないでしょう。何せ,二人にとってはなけなしの20万を出費しているわけですから。

 

しかし,一方でこの二人組以外にも複数の人物が同じタイミングで住民票を取得している(世田谷一家殺害事件考察(5) 強盗の可能性 - シトロエンの事件簿)ために,宮澤家を食い物にしようとした魑魅魍魎(複数)の一部であるとしか,現時点では言えません。

 

(住所を初めて知り得た)10月26日以降の目撃情報とアオキノブオ・アンドウの整合性を検証していくことが,捜査の足がかりになることでしょう。

 

まず、最初に「アオキ」と名乗る人物が、宮沢さんの調査を依頼してきたのは、二〇○○年八月十五日のこと。NDの表示は非通知だった。


604 :名無しピーポ君:2006/10/24(火) 18:44:59警視庁に提出された調査データ

*八月十五日十二時十九分
《対象者はミヤザワミキオ。四十~五十歳ぐらい。妻の名はヤスコ。子供は二人で年齢性別はともに不明
 住所は都内在住で杉並?
世田谷?詳細は不明。
 調査内容は住所。在住者確認とFA(家族)構成である。
 依頼人はトクメイ希望。
 調査金十五万円の前払いを条件に受。振込み名義はアオキノブオ》 しかし、この時は「アオキ」から入金はなく、調査は実行されなかった。
 次の連絡は、二ヶ月後。
*十月二十三目十三時〇七分に着信。今回はNDに番号が表示される。048・XXX・○○○○。
《男はアオキノブオと名乗る。声は四十~五十代。外国人のイントネーションではない。調査依頼は八月と同じ。世田谷、杉並在住の宮沢みきおの住所。
【A銀行に十五万円の振込み確認。口座名義はフェイス(偽名と思われる)。連絡先は048・△△△・XXXX】
 十月二十六日十三時に再TEL入る。調査結果をQSP(報告)すること》
 このA銀行への振込みに際して書き込まれた連絡先の電話番号と、事務所のNDに表示された番号は、市外局番が同じだが、後はまったく異なる。
振込み時の連絡先電話番号を小誌は調べたが、その番号は、事件とは無関係であることがわかった。
 さらにNDに表示された電話番号を追跡していくと、発信場所はさいたま市内にあるインターネット・カフェのものであることが判明した。
 このカフェと宮沢さん事件との接点は、今のところ見当たらず、なぜ、この店の電話が利用されたのかは、わからない。
 調査ファイルに戻ろう。
 宮沢さんの住所の調査結果を問い合わせる電話は、依頼の三日後に入った。
*十月二十六日十二時四十九分に着信。NDの表示は「公衆電話」
「アオキ」と名乗る男からTEL。しかし、声は前回と異なり、明らかに若い。日本人である。不審感を持つが、二十三日に報告を約束した宮沢みきおさんの住所のみを報告する》
 宮沢さんの住所は当時、電話帳に掲載されていなかったが、事務所は過去の電話帳が検索できるCD-ROM(システム・ビット社製の九八年度版)を使用し、すぐに割り出しに成功。
このCD-ROMデータの一部は後に警視庁に提出されている。


605 :名無しピーポ君:2006/10/24(火) 18:46:44《アオキと名乗った明らかに別人の若い男は、続けて住民票が欲しいと依頼。この時、省略版(本籍の入っていないもの)を別注した。
 十月二十八日十三時に来社アポがこの若い男から入る》
 アオキと名乗った若い男とは、十月二十八日、調査料と引換えに宮沢さん夫妻の住民票を渡す手筈になった。ところが、その二十八日、一本の電話が入る。
*十月二十八日十二時三十六分 NDに電話番号が表示される。番号は048・●●●・XXXX。
電話の主は二十六日に「アオキ」と名乗った若い男。だが、今度はなぜか、「アンドウ」と名乗った。やはりミヤザワミキオの本籍が入った住民票がほしいと依頼してく
る。「追加の調査になるので別料金がかかります」と説明》
「アオキ」が「アンドウ」に変わったが、調査費用を支払うというのであれば、事務所にとって大きな問題ではなかった。
 小誌はこの時、ナンバーディスプレイに残された番号を追跡した結果、与野市ファミリーレストランの玄関に設置されたピンクの公衆電話であることをつきとめた。
 設置場所の店などが契約するピンク電話は受信も可能だ。ピンク電話からかけると、「公衆電話」ではなくその番号が表示される。
*同日十三時七分
《男が約束の時間に来社。しかし、電話の若い男ではなく、年齢は四十~五十歳。メガネにスーツ、マフラー姿》
 さらにここで、注目すべき記述がある。この来社した男について、ファイルにはこう記されているのだ。
《もしかして、一月十九日にGTH(スタンガン)を販売したアオキではないのか?横髪を整髪剤で固めた横柄な感じの男。
 しかし、今度は「アオキ」ではなく、「アンドウ」と名乗る。どういうことなのか?事前に電話を寄越した若い男とこの男とはどういう関係なのか?》
 この来社した「アンドウ」に対して、調査事務所はこの時、調査料(住民票代行取得費用として)五万円の領収書を発行し、その控えがファイルに張りつけられている。
この領収書の宛て先も「安藤様」と記された。アンドウは、事務所が入居しているオフィスビルから数十メートル離れた私鉄ガード下に、白っぽい車を駐めていた。
この車の助手席側に乗り込み、アンドウは4号バイパス方面へ消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

世田谷一家殺害事件考察(5) 強盗の可能性

世田谷一家殺害事件は警視庁の正式名称では「上祖師谷三丁目一家4人強盗殺人事件」となっています。今回は強盗の線について考察してみます。

 

警視庁が"強盗殺人事件"としているのは,宮澤家から泰子さんが運営していた公文式の月謝20万円が盗まれたからだと思われます。ほかにも,クレジットカードが並べられていた,暗証番号の手がかりを探した痕跡があった,引き出しが下の段から順番に開けられていたなどの状況証拠があり,強盗の線で捜査していたためでしょう。

 

しかし,犯人は一家4人殺害という極刑をまぬがれない犯罪行為を犯していながら,手にしたのが僅か20万円というのは得たものが少なすぎます。仮に動機が「強盗」であるならば,現金20万円をはるかに上回る巨額の金・証書が目当てだったとしか考えられません。

 

また,

「実は事件が起こった二〇〇〇年十二月三十日までの一年間で、宮沢さん一家の住民票が当事者家族ではない複数の人物によって取得された形跡が区役所のパソコンに残っていた
しかし、様々な人物が複雑に関与しているようで、取得経路を確認する作業は難航している」(捜査関係者)

という報道がされており,宮澤家の素性(住所・本籍)を調べようとする人物の存在が浮かび上がってきます。この中で一件はアオキノブオとアンドウの二人組( 世田谷一家殺害事件考察 (4)アオキノブオと興信所 - シトロエンの事件簿 )であり,その他にも別の人物(集団または個人)が宮澤家にまつわる情報を調べていたことになります。

 

現在までのところ,宮澤家の住民票を取得した人物は個人情報を偽装しており,捜査の手が及んでいないと考えられます。複数の人物(アオキノブオとアンドウの二人組以外)が宮澤家を付け狙っていたことから,闇社会の中では「宮澤家には金がある」という噂が2000年当時に広まっていたということで間違いないでしょう。それも,金をかけて情報を収集しても,元を取れるだけの。

 

いつどういう経緯で「宮澤家の噂」が広まっていったか,その経緯を探ることで「強盗」の筋の犯人に近づけるのではないでしょうか。

■噂が広まった時期:「1998年,1999年に宮澤家の住民票を取得した,他人は存在したか?」もしいなければ,2000年頃に急に広まった噂であることが分かる。

■噂が広まった範囲:「情報取得者がどういう偽名・偽の住所を記載して住民票を取得したか?」

■住民票の用途:「複数の人物は,本籍あり/なしのどちらの住民票を取得したか?」

などが問いになります。

 

解決に期待しましょう。

 

※実際には宮澤みきおさんは世田谷から新居への引っ越しにかかる費用にあてるため,父親の宮澤良行さんに2000万円の借金を申し出ていたとのことなので,潤沢な資金があったとは考えられません。根も葉もない噂で付け狙われたということなら本当に不憫でなりません。

 

 

世田谷一家殺害事件考察(4)アオキノブオと興信所

今回は,アオキノブオについて検証します。

 

モナザイト氏のサイトに以下の記述がありました。

2000年1月:アオキノブオはスタンガンを購入

2000年8月15日:アオキノブオ,興信所に宮澤みきおさんの住民票取得を依頼するも15万円の見積もりに躊躇し一回は断念した

2000年10月23日:アオキノブオと名乗る若いぞんざいな男(注:アンドウだと思われる),同じ興信所に2度目の連絡を寄越し現住所調査を依頼,今度は15万円がその日に振り込まれた。興信所は宮澤みきおさんの住所を調査し回答。

2000年10月26日:アンドウと名乗る若いぞんざいな男(注:声の主は若いぞんざいな男だが,今度はアンドウと名乗った),3度目の依頼で住民票の取得を依頼,追加で5万円の費用が必要だとの興信所の返事に対し躊躇するものの依頼。

 

2000年10月28日:翌日,アンドウと名乗る中年の男(注:以前スタンガンを購入したアオキノブオだと思われる)が興信所を訪れ,住民票と引き替えに謝礼を支払い。(総額20万円)

2000年10月28日:アオキノブオと名乗る若いぞんざいな男(注:アンドウだと思われる),本籍記載ありの住民票取得を依頼するも,追加費用が発生することが分かると,それ以降連絡が途絶えた。

実はこの興信所の所長は、事務所に訪れた アオキノブオ に見覚えがあったのだという。同事務所が経営する店舗で、2000年1月に、スタンガン を購入した男が、アオキ の名前で領収書の肩書きを書いたことを。

まぁ普通に考えて、一般人はスタンガンなんて購入しようとは思わないはず。すなわち2000年1月ぐらいには、犯罪の準備をアオキ自身初めていたということではないのだろうか。 気になるのは、この時も名前を アオキ という記していることだ。

事件はずっと前から始まっていた - 負け犬の遠吠え

いったんは15万円を支払わずに躊躇したことからも,8月15日の時点では,「宮澤家の住民票の価値<15万円」だったのでしょう。しかし,その後2ヶ月後には即金で支払っていることから,アオキノブオにとって「宮澤家の住民票の価値>15万円」と確信を持てる状況になったと考えられます。(あるいは8月にはすぐに工面できない金銭的状況にあり,2ヶ月かけて15万を用意したか。)

この8月15日〜10月23日までの間に宮澤さんの周囲で何か金銭にまつわる変化が起きたのではないでしょうか?(たとえば,東京都から支払われる予定の立ち退き金額が確定したとか,払込日が確定したとか,新居の目処が立って頭金を用意したなど。)

あるいは,アオキノブオ側の"都合”に変化が生じた可能性もあります。たとえば,年末までに数百万・数千万円の巨額の資金が必要となり,後に引けない状況に陥ったなど。

また,私はモナザイト氏の意見とは異なりますが,アオキノブオという名前は,犯罪用の偽名であり,日常的にこの偽名を用いての活動を行っていたと考えています。

 

 2chからの転載を以下に貼り付けるます。

597 :名無しピーポ君:2006/10/24(火) 18:24:53この問題のファイルは、調査事務所が作成した調査台帳である。分厚い台帳の中には、ある人物が事件直前に二度にわたって電話で依頼してきた、宮沢みきおさん、泰子さんに対する「身辺調査」の記録が残されていた……。
 一回目の依頼は一家惨殺事件が起こる五ヶ月前、二〇〇〇年八月十五日午後十二時十九分のことだった。
「杉並か、世田谷に住んでいる宮沢みきおという人物の自宅住所を知りたい。奥さんの名前は泰子。小さい子供が二人いる」
「歳は幾つぐらいでしょうか?」
「四十から五十歳だと思う。それから、お宅の調査料金はどれぐらいなのか?」
 八月十五日はお盆休みの最中で、調査事務所側に人手が足りず、依頼を受けるのは気が進まなかった。それで、通常より高めの料金を説明し、依頼者をあきらめさせようとしたという。
「十五万円前後ですね。お宅の名前は?」
匿名を希望したい。料金が結構、高いですなあ……」


住民票も取ってほしい

 この依頼人からの電話はあらかじめ番号非通知設定が施されていた。だが、調査事務所への調査依頼に匿名、非通知は珍しくないことだという。
 調査事務所側は調査のシステムを依頼人に簡略に説明した。
「料金をまず銀行へ振込んで頂かないと。ウチは銀行で入金を確認できてからでないと、調査を開始できませんので……。入金を確認次第、調査します。料金の振込み先はA信用金庫xx支店。普通口座○○○○。お宅の振込み名義は何ですか?」
「じゃあ、アオキノブオという名前で……」
 しかしその後、依頼人・アオキノブオから銀行への振込みはなく、この時点で宮沢さん一家の調査は実行されなかった。

598 :名無しピーポ君:2006/10/24(火) 18:27:07 事件が発生する二カ月前の十月二十三日午後十二時三十分。何の前触れもないまま、調査事務所に二度目の依頼が入った。
「夏ごろ調査をしてほしいと電話をかけた者だけど……」
 この日の依頼は八月十五日とまったく同じ内容だった。
 宮沢みきお、泰子夫妻の現住所を知りたいというものだ。
 依頼主の声色は若者という感じではなく、落ちついた中年男性風で、イントネーションや喋り口調は外国人のものとは思えなかった。
 そして今度はその日のうちに、八月の時点で伝えた調査謝金十五万円が、依頼人から指定の口座へ振込まれた。
 入金を受け、調査事務所はまず、杉並、世田谷の電話帳を捲り、「宮沢みきお」という名前を探した。二、三年前の古い電話帳を遡って調べると、あっさりと「該当者」が見つかった。

 同姓同名の可能性もあるので念のため、調査事務所は現地に調査員を派遣し、奥さんの泰子さんの名前が合致しているか、確認作業をしたという。
 約束した三日後の十月二十六日、再び依頼主から調査事務所に電話が入った。
 事務所は宮沢みきおさんの世田谷の住所などを報告して、その所在を明らかにしたが、ここで依頼人はさらなる調査を持ちかけてきた。
「宮沢みきおの住民票も取ってほしい。すぐにできないか?」
 調査事務所側は依頼人が、「本当に情報をほしがっている客である」と、すでに感づいていたという。なにしろ住所を調べるだけで、十五万円も気前よく振込んだ客である。事務所側はさらに調査費の追加料金を要求した。
「住民票を取るのであれば、別注になります。あと五万円の経費がかかりますね」
「結構するんだな……」。
 依頼人は少し考えた末に、取得を依頼。翌日、調査事務所で謝金と住民票を交換することになり、アオキは翌日事務所に現れた。


599 :名無しピーポ君:2006/10/24(火) 18:30:27 この時、事務所所長の脳裏にある記憶が蘇ったという。
「あれは、あの時の……」
 二年前の一月十九日。当時スタンガンを販売していたこの社長の元に、やはり青木と名乗るスーツを着て髪の毛を撫でつけた、
身だしなみのいい三十五歳から四十五歳の男性が訪れたことがあったのだ。その時に本人が名乗った名前が、青木XXで、事務所は領収書も発行していた……。
 社長は目の前の青木とその時の男が同一人物であるのがわかったという。
 ところが、住民票を渡した翌二十八日。再び、「青木」から調査事務所に電話が入った。
「今度は本籍を頼むよ」
 という依頼だったが、不思議なことに、明らかに昨日までの青木とは声が異なり、話し方ももっと若い男のぞんざいな口調に変わっていた。
「本籍が入ると高くなります……」
 と、事務所側が料金を説明すると、青木と名乗る人物から、その後、事務所に連絡の来ることはなかった。

 しかし、この「身辺調書」の記録は、宮沢さん一家が以前から何者かに狙われていたことを物語っている。


600 :名無しピーポ君:2006/10/24(火) 18:31:28 これまで、さまざまな犯人像がメディアで報じられてきた。しかし、いずれも憶測の域を出ず、現場に残された数々の証拠と犯人像は結びついていない。
 宮沢さん一家四人を殺害した手口そのものは、到底プロのものとはいえないものだった。ある捜査幹部は最近、
一部メディアで盛んに報じられている軍隊経験のある外国人の犯行説を苦笑しながら、きっぱり否定している。
「軍隊経験のある者、プロならば害者をあんなメッタ刺しにはしない。まず、逃げられないよう足のアキレス腱を切ったり、
頸動脈など致命傷を与える箇所を刺すはず。みきおさん、泰子さんの遺体には激しく抵抗した痕跡が残っていました。
軍隊でしか使用されない凶器や遺留品?そんなものは存在しませんよ」
 昨年末、公開された犯人の遺留品はどう見ても二十代から三十代の若者のものである。そして犯行現場の室内に残されたテニスシューズの足跡と、
逃走経路と見られる裏の公園の地面に残された足跡とは一致し、室内には至るところに指紋が多数残されていた。数々の物証は、単独の犯行であることを窺わせる。
「宮沢家の所在地は入組んだ場所にあり、土地鑑がなければまず狙わない。成城、世田谷区内には手に怪我を負った異常性格の若い男が必ず潜んでいる」
 だが、捜査本部のこの方針は、調査事務所サイドが実施した再三にわたる調査記録によって、大きく揺らぐことになった。
「土地鑑」は調査事務所の調査により、あらかじめ入念に準備されたものだった公算が高くなったのである。
 調査事務所が調査をした二カ月後の十二月二十七、二十八日、事件が起こった三十日午後。単独犯行説を否定するかのように、数々の目撃証言が寄せられ、供述調書が多数、残されている。


601 :名無しピーポ君:2006/10/24(火) 18:34:20 まず二十七日午後には、宮沢さん宅前の私道から家の様子を覗いていた不審な男性が目撃された。
翌二十八日昼過ぎ、タクシーで現場付近を周回していた不審な客がいたとの情報が寄せられている。
 事件当日の三十日午後五時過ぎ、バイクで宮沢さん宅へ配達にきた郵便局員が家の前の私道に黒いセダンが停まっていたのを目撃している。
 事件直近の不審者の目撃情報は同日午後十時半ごろ。宮沢さん宅の裏手にある仙川を挟んだ対岸の川沿いの側道を二人の不審な男が歩いていたのを、
犬の散歩をしていた住民に目撃されている。
 一方、宮沢みきおさんのさいたま市の実家の隣家にも三十一日の昼ごろ、奇妙な電話が掛かった。新聞社の者であると名乗った電話の声は、三十代から四十代の中年男性。
「ご近所の宮沢さんは何をしている人ですか?近所にビルはありますか?(そのビルの中に)事務所か何かが入っていませんでしたか」
 稚拙ともとれる犯人の行動にも謎は残る。犯行後、一階にあるみきおさんの書斎から書類を大量に持ち出し、浴室で物色。逃走直前まで、
パソコンを起動させて、みきおさんが「お気に入り」に登録していた会社関係のサイトなどに。アクセスを試みるなど、「通り魔的な物取り犯」にしては不可解な行動が多い。
 しかし、「土地鑑のある若い男の単独犯」説では交わることはなかった目撃情報と犯人の行動は、この調査事務所による調査という入念な”準備”によって繋がりつつある。
そこで成り立つ仮説は、宮沢さん一家が何らかのトラブルによってつけ狙われ、現場の下見が複数の人間により入念に行われたというものだ。
単独で宮沢さん宅に侵入した犯人は前科前歴のない若者であり、その目的は一家の殺害と、何かが記された書類、もしくは情報を探し出すことだった。


602 :名無しピーポ君:2006/10/24(火) 18:37:14 では一体、誰が、何のために宮沢さん一家を狙ったのか?
 依頼を受けた調査事務所は埼玉県内で配られる新聞に折り込み広告を入れ、静岡から新潟まで配達される全国紙の夕刊にも三行程度の広告を出したことがある。
調査事務所の所在地から、疑惑の依頼人の所在を絞り込むことは難しい。現在、「青木」を名乗る依頼人の手がかりは、
十月二十三日に調査事務所の口座へ十五万円が振込まれた際、作成された振込み伝票の情報だ。
その伝票には「会社のような名称」と「青木」とは別の名前、電話番号が記載されていたのである。
 電話番号は埼玉県内で実際に使用されていた個人名義のものだった。しかし不可思議なことに、事件が起こった一週間後、
この番号は「現在、使用されておりません」と通話不能になっている。
 電話の名義人の住所は埼玉県内のオフィスビルの一室にある。しかし、振込み伝票に記載されていた「会社のような名称」と、この部屋の現在の表札名は異なっている。
 実は、口数が少なく、仕事について家族にもほとんど話さなかった宮沢さんが生前、ある親しい知人にこう漏らしたことがあった。
「紙一重の仕事をしている」
 この謎めいた言葉は何を意味するのか?
 



603 :名無しピーポ君:2006/10/24(火) 18:42:15 小誌は先週号で、宮沢みきおさん一家が惨殺される二ヶ月前の二〇〇〇年十月、埼玉県内のある調査事務所を密かに訪れ、
宮沢さん夫妻の身辺調査を依頼した人物が存在していた事実をスクープした。
 この人物は当初、「アオキノブオ」と名乗り、調査料を振り込んで宮沢さんの住所を入手。続いて、住民票の取得を依頼したが、
結果を受取りに事務所を訪れた「アンドウ」と名乗る人物は、その名義での調査料の領収書を要求した……。
 調査事務所から、一部記録ファイルの任意提出を受けた警視庁捜査一課は、電話検索ソフトなどを用い、
全国の「アオキノプオ」という同姓同名の人物を割り出す捜査を行ったが、現時点でもまだ、該当人物には辿り着いてはいない。
 調査を依頼した人物は一体どんな人物なのか?なぜ、宮沢さん一家を”標的”に選んだのか?
 その謎を解く重要なヒントが隠されている調査事務所の全調査記録ファイルを小誌は入手した。
 このB5判の分厚いファイルには、調査事務所が引き受けた仕事の内容、接触してきた依頼者の周貌や声色、連絡先、さらに交わした会話などが、調査事務所の職員によって細か
く綴られている。さらに、この調査事務所の電話はナンバーディスプレイ(以下、ND)に対応しており、電話をかけてきた相手の番号が表示されるようになっている。ファイルにはその番号も記されていた。
 小誌が入手したこの調査ファイルの中から、宮沢さん夫妻に関係する内容を時系列に精査して、謎の依頼人の正体を追ってみたい。
 まず、最初に「アオキ」と名乗る人物が、宮沢さんの調査を依頼してきたのは、二〇○○年八月十五日のこと。NDの表示は非通知だった。


604 :名無しピーポ君:2006/10/24(火) 18:44:59警視庁に提出された調査データ

*八月十五日十二時十九分
《対象者はミヤザワミキオ。四十~五十歳ぐらい。妻の名はヤスコ。子供は二人で年齢性別はともに不明
 住所は都内在住で杉並?
世田谷?詳細は不明。
 調査内容は住所。在住者確認とFA(家族)構成である。
 依頼人はトクメイ希望。
 調査金十五万円の前払いを条件に受。振込み名義はアオキノブオ》 しかし、この時は「アオキ」から入金はなく、調査は実行されなかった。
 次の連絡は、二ヶ月後。
*十月二十三目十三時〇七分に着信。今回はNDに番号が表示される。048・XXX・○○○○。
《男はアオキノブオと名乗る。声は四十~五十代。外国人のイントネーションではない。調査依頼は八月と同じ。世田谷、杉並在住の宮沢みきおの住所。
【A銀行に十五万円の振込み確認。口座名義はフェイス(偽名と思われる)。連絡先は048・△△△・XXXX】
 十月二十六日十三時に再TEL入る。調査結果をQSP(報告)すること》
 このA銀行への振込みに際して書き込まれた連絡先の電話番号と、事務所のNDに表示された番号は、市外局番が同じだが、後はまったく異なる。
振込み時の連絡先電話番号を小誌は調べたが、その番号は、事件とは無関係であることがわかった。
 さらにNDに表示された電話番号を追跡していくと、発信場所はさいたま市内にあるインターネット・カフェのものであることが判明した。
 このカフェと宮沢さん事件との接点は、今のところ見当たらず、なぜ、この店の電話が利用されたのかは、わからない。
 調査ファイルに戻ろう。
 宮沢さんの住所の調査結果を問い合わせる電話は、依頼の三日後に入った。
*十月二十六日十二時四十九分に着信。NDの表示は「公衆電話」
「アオキ」と名乗る男からTEL。しかし、声は前回と異なり、明らかに若い。日本人である。不審感を持つが、二十三日に報告を約束した宮沢みきおさんの住所のみを報告する》
 宮沢さんの住所は当時、電話帳に掲載されていなかったが、事務所は過去の電話帳が検索できるCD-ROM(システム・ビット社製の九八年度版)を使用し、すぐに割り出しに成功。
このCD-ROMデータの一部は後に警視庁に提出されている。


605 :名無しピーポ君:2006/10/24(火) 18:46:44《アオキと名乗った明らかに別人の若い男は、続けて住民票が欲しいと依頼。この時、省略版(本籍の入っていないもの)を別注した。
 十月二十八日十三時に来社アポがこの若い男から入る》
 アオキと名乗った若い男とは、十月二十八日、調査料と引換えに宮沢さん夫妻の住民票を渡す手筈になった。ところが、その二十八日、一本の電話が入る。
*十月二十八日十二時三十六分 NDに電話番号が表示される。番号は048・●●●・XXXX。
電話の主は二十六日に「アオキ」と名乗った若い男。だが、今度はなぜか、「アンドウ」と名乗った。やはりミヤザワミキオの本籍が入った住民票がほしいと依頼してく
る。「追加の調査になるので別料金がかかります」と説明》
「アオキ」が「アンドウ」に変わったが、調査費用を支払うというのであれば、事務所にとって大きな問題ではなかった。
 小誌はこの時、ナンバーディスプレイに残された番号を追跡した結果、与野市ファミリーレストランの玄関に設置されたピンクの公衆電話であることをつきとめた。
 設置場所の店などが契約するピンク電話は受信も可能だ。ピンク電話からかけると、「公衆電話」ではなくその番号が表示される。
*同日十三時七分
《男が約束の時間に来社。しかし、電話の若い男ではなく、年齢は四十~五十歳。メガネにスーツ、マフラー姿》
 さらにここで、注目すべき記述がある。この来社した男について、ファイルにはこう記されているのだ。
《もしかして、一月十九日にGTH(スタンガン)を販売したアオキではないのか?横髪を整髪剤で固めた横柄な感じの男。
 しかし、今度は「アオキ」ではなく、「アンドウ」と名乗る。どういうことなのか?事前に電話を寄越した若い男とこの男とはどういう関係なのか?》
 この来社した「アンドウ」に対して、調査事務所はこの時、調査料(住民票代行取得費用として)五万円の領収書を発行し、その控えがファイルに張りつけられている。
この領収書の宛て先も「安藤様」と記された。アンドウは、事務所が入居しているオフィスビルから数十メートル離れた私鉄ガード下に、白っぽい車を駐めていた。
この車の助手席側に乗り込み、アンドウは4号バイパス方面へ消えた。


606 :名無しピーポ君:2006/10/24(火) 18:47:58 初めてアンドウと面会した調査事務所所長に、ある男の記憶がよみがえった。それが二〇〇〇年の《一月十九日》に事務所を訪れたという「アオキ」である。
 この日付の調査ファイルを捲ってみると……
1、
*二〇〇〇年一月十九日十三時三十分。
 眼鏡にスーツ、頼がこけた感じのやや痩せ気味の男がノックもせずに事務所にやって来る。横髪を整髪剤で固め、一見、紳士的な風貌。四十~五十歳
だが、対応した事務所の調査員は「少しズーズーしい」という印象を記録している。
 男は一万二百九十円の携帯型スタンガン(商品名「ゲキタイマン」)を購入。その場で包装を開け機能を確認。一万三百円を現金で支払い、「青木」の名で領収書を請求した。
アオキが車を駐めていた場所は、アンドウと同じガード下。アオキはやはり、4号バイパス方面に去っていった。
……一方、アンドウと名乗った年配の男は、今後の報告連絡先として048・○○○・△△△△という番号を言い残した。
 しかし、この「アンドウ」が残した連絡先を小誌が追ってい<と、これも別の公衆電話の番号であることが判明。
 この電話は、さいたま市のスーパーの中に置いてある緑の公衆電話の番号であった
 十月二十八日、事務所に連絡が入った時に使われたピンクの公衆電話、このアンドウの残した番号の緑の公衆電話。
現地で確認してみると、いずれの電話も表面には、番号を記したシールなどはない。
 あらかじめ、身元が判明しない公衆電話を調べた上で、連絡先に使ったものと思われる。
 この後、「アオキ」あるいは「アンドウ」と名乗った男たちからの連絡はとだえた。
 本籍地が入った住民票取得依頼についても、追加調査料金の振込みがないため、調査はされなかった……。
 この、宮沢さん夫妻を調べ上げていた、「アオキ」「アンドウ」と名乗った男たちの正体や意図は、何だったのか。


607 :名無しピーポ君:2006/10/24(火) 18:49:42 小誌は、やはり先週号で、宮沢みきおさんが、千代田区にあるコンサルタント会社を出てから、世田谷区にある自宅に帰りつくまで、空白の三、四時間があったと報じた。
 だが、こちらの方は新たな証言で、その一端が浮かび上がりつつある。帰宅が遅くなっていた理由は、宮沢さんに仕掛けられていたヘッドハンティングだったのである。
 昨年四月に日本支社を新設した外資コンサルタント会社が、宮沢さんを「役員格」で迎えると誘いをかけ、宮沢さんはこの申し出を受ける意向を固めていたようだ。
「事件直前の十二月二十六日ごろ、彼とランチを食べた時に、『そろそろ新しい仕事の動きが固まってきた』と話していました」(親しい知人)
 宮沢さんは会社を定時である午後五時半に出た後、頻繁に新会社のミーティングに参加していたのである。
 宮沢さんと親しい大手コンサルタント会社の幹部がこう話す。
「調査事務所に身元調査の依頼があったと報じられたのを読んだ時、最初は宮沢君の引き抜きの件の調査かと思いました。しかし内容を読んでみると、
自宅の住所を捜してくれ、というものでしょう。普通の会社では考えられないことですね。
 スカウトする場合、身元調査をやることはあるが、履歴書の職歴、学歴に嘘がないかを調べるもので、自宅の住所や住民票を調べるためだけに高額の調査料金を支払うような真似はしない。
おかしな話です」
 事件発生以来、捜査員は、「宮沢さんは副業をしていなかったか?何かトラブルはなかったか」と、宮沢みきおさんの周辺をあたった。しかし、
「この業界では副業は常識で引き抜きも日常茶飯事です。現に宮沢君と一緒に引き抜かれた社員は複数いるが、身の危険は何も起こってはいない。引き抜きで恨まれ、狙われたとは思えない」(同僚)
 誰が、何のために事件直前、宮沢さんの身元調査を依頼したのか。複雑に絡まった糸を一つ一つ解いていかない限り、犯人へと繁がる糸口は、いつまでも点のままでしかない。

608 :名無しピーポ君:2006/10/24(火) 18:56:23 小誌が三号にわたり報じてきた宮沢さん夫妻の身元調査を依頼した「アオキ」「アンドウ」と名乗った謎の人物、
そして調査会社に残っていた宮沢さん一家に関する記録ファイルの存在……。
 このファイルを元に現在、警視庁捜査一課のベテラン捜査員らが関係各所へ赴き、謎の依頼人の足取りを追う捜査を粛々と進めているが、
誰が、何のために宮沢さん一家を狙ったのか?という最大の”謎解き”にはまだ時間を要するようだ。
「実は事件が起こった二〇〇〇年十二月三十日までの一年間で、宮沢さん一家の住民票が当事者家族ではない複数の人物によって取得された形跡が区役所のパソコンに残っていた
しかし、様々な人物が複雑に関与しているようで、取得経路を確認する作業は難航している」(捜査関係者)
 警視庁は全国調査業協会に協力を依頼、その後、個別に調査会社もまわったが、取得経路の解明は進んでいない。
 警察庁関係者がこう述懐する。
「時効が成立した『グリコ・森永事件』でも誘拐前に江崎勝久社長の住民票が家族以外の何者かに取得された形跡が残っていました。
しかし、区役所の記録には偽名が書き込まれており、いくら辿っても一体、誰が江崎家の住民票を調べたのかを割り出すことはできぬまま、時効を迎えてしまった……」
 調査会社と依頼人との連絡に主に使用されたのは、さいたま市内に設置された公衆電話であることは、小誌の入手したファイルの記録からすでに判明している。
一月末、警視庁の捜査員が、使用された公衆電話のあるスーパーの管理事務所を訪ねている。


609 :名無しピーポ君:2006/10/24(火) 18:58:39 一方、小誌が先週号で宮沢さん一家事件と奇妙な”接点”があると報じた、
昨年五月二十三日、さいたま市で起こった岡部さん親子殺害放火事件の捜査も同様に難航している。
 この事件はこれまでも世田谷事件との類似が指摘されてきた。

複数の包丁を使用するなど殺害手口が似ていること。
●岡部さん一家には殺害に結びつくような動機が浮かんでこない……。
●殺害された娘の沙和佳さん(当時14)はパソコンを持っており、よく使用していた。

……現場から走り去る若い男が、複数の住民に目撃されたが、その正体は判明せず、八カ月が経過した現在、周囲からは早くも「迷宮入り」が囁かれている。
しかし、小誌が入手した宮沢さん一家の身元調査を請け負った調査会社のファイルにはこの放火殺人についても、ある人物からの奇妙な依頼が記録されていた。
父親と一緒に殺害された沙和佳さんは事件当時、私立の浦和ルーテル学院(初等部から高等部まで一貫教育)の中等部に在籍。
事件が起こる半年前と一力月前、調査会社に非通知の電話で「浦和ルーテル学院の中学の在校生名簿がほしい」という匿名希望の依頼があったことが記されているのである。
 そして、その依頼人の声は宮沢さんの本籍地入りの住民票取得を事件直前、依頼して言た「アンドゥ」と名乗る若い男の声とよく似ていた、とも記述されていた。

 

 

 

 

 

世田谷一家殺害事件考察(3) 指紋について

 NHKの特番にて,犯人の物と思われる指紋が9個発見されたといいます。今回は指紋の謎について検討しましょう。

まず,指紋の個数と発見場所ですが以下の9カ所。

1)2階リビングのテーブルに2カ所
2)2階キッチンに1カ所
3)2階トイレの前の廊下に1カ所
4)1階納戸の棚の天面に1カ所
5)1階階段降りたところの床に1カ所
6)1階机のみきおさん用PCに2カ所
7)1階机の子供用PCに1カ所

ASKA氏(世田谷一家殺害事件再考その137(残された指紋): ASKAの事件簿 )

犯行当日家中を探し回った痕跡からすると異様に少ない指紋の数であることから,殺害実行時には犯人は手袋あるいはハンカチ等で指紋を残さないようにしていましたが,殺害実行後のどこかの時点でうっかり指紋を残してしまったというのが定説です。指紋の付着している場所からしても,犯人が家の中を荒らしたルートに沿って残っており,犯行当日の指紋だと考えて差し支えないでしょう。

 

初回訪問時の指紋が残っていないのは何故か?

ここで気になるのが,何故犯人の指紋が犯行当日のものしか残っていないのかです。

指紋が残る条件を調べてみたところプラスチックやビニール等に付着した指紋は2〜3ヶ月の期間残るらしいことが分かりました。

ガラス、プラスチック、ビニール、金属などは2~3ヶ月で指紋が消えてしまいます。また、屋外ですと、乾燥や直射日光による紫外線の影響で2~3週間で消えてしまいます。
さらに、雨に濡れてしまったりすると、すぐに消えてしまいます。

逆に紙類は、何十年でも指紋が消えずに検出することができます。しかし、これも直射日光のあたる場所やカビの生えるような湿気の多い場所ですと、おおよそ1~2年で消えてしまいます

http://kanshiki.com/faq/%E6%8C%87%E7%B4%8B%E3%81%AF%E3%81%A9%E3%81%AE%E3%81%8F%E3%82%89%E3%81%84%E3%81%AE%E6%9C%9F%E9%96%93%E3%81%A7%E6%B6%88%E3%81%88%E3%81%A6%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%86%E3%81%AE%EF%BC%9F/

 

ここで思い出されるのが,2011年末情報で公開された,スリッパから検出された犯人のDNAとの関係です。

平成12年12月、東京都世田谷区の会社員、宮沢みきおさん=当時(44)=一家4人が
自宅で殺害された事件で、宮沢さん宅のスリッパから、犯人のものとみられるDNA型が検出されていたことが28日、
捜査関係者への取材で分かった。事件当日、犯人は土足で室内を歩き回ったことが足跡などから確認されており、
警視庁成城署捜査本部は、犯人が事件前から宮沢さんと面識があり、
宮沢さん宅を訪れた際にスリッパを使った可能性があるとみて調べている。

 捜査関係者によると、捜査本部が、スリッパに付着していた皮膚や汗などの微物を鑑定したところ、
現場の床に付着していた犯人の血液のDNA型と一致することが確認された。

 現場には宮沢さんらの血液が付着した犯人の土足の足跡が多数発見されたが、
事件当日、スリッパで歩き回った跡は確認されておらず、
犯人は事件前に宮沢さん宅を訪れ、スリッパを履いた可能性があるという。

 また、犯人が現場に残したヒップバッグやトレーナーに付着していたインクやペンキの材料となる蛍光染料は、
宮沢さん宅の車庫にある木製収納家具にも付着。事件当時、犯人が車庫に立ち入った形跡はなく、
宮沢さんが染料を扱っていた事実も確認されていないことから、捜査本部は染料についても、
事件前に犯人が宮沢さん宅に出入りした可能性を裏付ける重要な証拠とみている。

 ただ、犯人は宮沢さん宅に侵入して一家を殺害した後、室内に長時間とどまり、
冷蔵庫の食品を食べるなど、異常な行動をしたことが確認されており、
捜査本部は、犯人が事件当時、ほかにも説明のつきにくい行動をとった可能性もあるとみて、慎重に捜査を続けている。

ソース:MSN産経ニュース2011年

 

 

 

事件当日にはスリッパを履いた痕跡がないとすると,

① みきおさん,泰子さんのどちらかと顔見知りで招待されて家の中に入ったことがある。

② 出入り業者として宮澤家の家電の修理や水道工事,あるいは保険の説明,不動産の紹介などを行ったことがある。

③ 公文式の塾の関係者,または父兄で家の中に入ったことがある。

④ 犯人が勝手に侵入した。(この場合,スリッパは履かないはずなのでこれは無い)

といった可能性が考えられます。④がないとすると,①②③のどれかすなわち「犯人は宮澤家を訪問したことがある」ことになります。この訪問時期がもし2000年10月以降であれば,思わぬところに指紋を残してしまうこともあり得たはずです。

しかし,実際には残っている犯人の指紋が全て犯行当日のものだとすると,「初回訪問時は,2000年10月より前だった」または「初回訪問時は部屋の中の物をべたべた触ったりしていない(程度の親しさであった)」と考えられます。

 

以上の考察より,犯人は,宮澤みきおさん・泰子さんとの仕事上のつきあいがあるか,出入り業者,またはちょっとした知人程度の人物であり,親しい人物ではないと考えます。

 

世田谷一家殺害事件考察(2) 日本人の犯行?外国人の犯行?

今回は外国人犯行説について考えてみましょう。

実行犯が韓国人かどうかは判断できない

まず韓国人説の根拠として挙げられている根拠は,
・犯人の靴跡が,韓国国内でしか製造・流通していない28.0インチのスラセンジャーであったこと。(スラセンジャーはわざわざ個人輸入するほどの人気ブランドではない。)

■スラセンジャー(警視庁のパンフレットより)

http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/jiken/jikenbo/seijo/image/setagaya.pdf

です。ほかにも出所のはっきりしない話として,韓国がらみの宗教関係などの情報が出てきますが,警視庁の公式発表ではないため噂話の域を出ないでしょう。

このシューズの情報から言えることは,「実行犯が何らかの経緯でスラセンジャー(28.0インチ)を入手し得た」という点だけです。入手経緯は,たまたま海外旅行(修学旅行や社員旅行かも)で韓国に行ったことがある,程度かも知れないため,犯人像に結びつけるのは危険だと思います。スラセンジャーの韓国国内での流通範囲から何らかの情報が得られる可能性はありますが,続報がないためいまのところは判断はできません。

残虐な犯行があるたびに中国人・韓国人犯行説が連想されますが,「残虐=日本人離れ=特定アジア」と思い込みたい気持ちは理解できますが,捜査・解決に望む上での盲点になりかねないことからフェアな目線で情報を整理したいと思います。

 

実行犯は米軍兵士ではない

米軍兵士説の根拠として挙げられている根拠は,
・犯人の物と思われるヒップバッグの中から,米国カリフォルニア州のモハーヴェ砂漠南西部にあるエドワーズ空軍基地付近の砂が見つかった。
・犯人の物と思われるジャンパーのポケットから,三浦海岸の砂が見つかった。(横須賀の米軍基地が近い。)
の二点です。両方の砂の共通点は米軍基地近くであることからの連想だと思われます。

しかし,前回の記事(世田谷一家殺害事件考察(1) プロの犯行か,素人の犯行か? - シトロエンの事件簿)で考察した通り,私は実行犯(および共犯がいるとしても)は素人だと考えています。米軍兵士の可能性は限りなくゼロに近いでしょう。

 

 

世田谷一家殺害事件考察(1) プロの犯行か,素人の犯行か?

プロの犯行か,素人の犯行か?

世田谷一家殺害事件の情報をネットで検索していると,噂話として「韓国の元軍人」「米軍兵士」といったプロフェッショナルの犯行ではないかという推測が出てきます。今回は実行犯がプロか素人かについて考えてみましょう。

 

■凶器

(1) 刺身包丁 関孫六 銀寿

宮澤みきおさん殺害に使用されたのは,刃渡り21cmの刺身包丁でした。

http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kouhoushi/no8/jiken/image/anojiken_knife.jpg

http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kouhoushi/no2/jiken/image/jiken6.jpg



商品名「関孫六 銀寿」
柳刃包丁 (刃体21cm、柄部分を含めた全長34cm)
福井県内の業者が、平成12年6月に1,500本製造したもので
関東地区46店舗では、1丁3,500円前後で販売された。

テレビ朝日の番組で寿司屋の主人が語っていたように,刺身包丁は引いて使う道具であり,対面した相手に対する凶器としては不向きです。

写真をご覧いただくと分かるように,柄と刃がほぼ同じ縦幅であり,もし突く・刺すといった用途で使用すれば容易に手が滑り,自らの手を傷つけてしまうことが分かります。

 

実際に,犯人は宮澤みきおさん,泰子さん,にいなちゃん殺害時に手を怪我して流血していたことが分かっています。

 

(2) 宮澤家の文化包丁

宮澤みきおさん殺害時に刺身包丁(関孫六)の先端が折れてしまいましたが,そのまま3Fのロフトにいる泰子さん,にいなちゃんを殺害しようと試みました。その際,泰子さんの腕に多数の防御創があること,にいなちゃんの歯が折れていたことなどから,刺身包丁で切りつけるだけではなく殴る等の暴行を加えたと考えられています。

 

その際,激しい抵抗にあったこともありますが,刺身包丁(関孫六)が折れていたことも相まって,泰子さんに致命傷を与えることが出来ず,一旦,2Fに降り,宮澤家の文化包丁を使用して再度泰子さんとにいなちゃんを刺して殺害しました。

 

この泰子さん・にいなちゃん殺害の経緯を見る限り,少なくともロフト襲撃時の犯人の手元には第二の凶器が用意されていなかったことになります。(もし第二の凶器があるならば,それを使えばより確実に殺害可能だったはずですが使わなかったことから。)

 

※注:monazite氏のブログに第三の凶器仮説が書かれています。第一の凶器(持参した刺身包丁)は折れ,第二の凶器(宮澤さん宅の文化包丁)は変形して使い物にならなくなったため,一家殺害後一度自宅に帰り第三の凶器を持って再侵入した可能性です。

setagayafamily.blog.fc2.com

 

■実行犯は限りなく素人に近い人物

私は実行犯は素人だと考えています。その理由は以下の二点です。

(1) 一家殺害に対する高い計画性に対し,不釣り合いな準備不足

本事件は一家全員を殺害する周到性が垣間見えます。いわゆる「流し」の可能性は低く,計画的な犯行ということです。もしプロフェッショナルであれば,全員殺害すると決めたならば様々なシナリオを想定し,複数の凶器を用意するはず。

 

足が付きやすい特殊なナイフを避けて,一般的な包丁を凶器として選択することも考えられますが,「包丁が1本だけしか手元にない」状況に陥らないように複数用意するでしょう。

 

したがって,殺害計画に対して,かなり甘い楽観的な見通ししか持っていなかったと言わざるを得ません。

 

(2)凶器の選択ミス

よりによって刺殺に不向きな刺身包丁を選んでしまったという点から,実行犯は兵士(特にナイフによる格闘)としての訓練は受けていないと考えられます。また,刃物に対する知識に乏しいことから,ナイフマニアでも,日常的に料理をする環境にもいなかったと考えられます。(料理をしていれば,刺身包丁より文化包丁や出刃包丁を選ぶはず。)

 

また,殺人事件は世田谷一家殺害事件以前には未経験だと考えられます。世田谷一家殺害事件以前に動物虐待事件が続いており,事件後にぴたりと止まったという話もありますが,実行犯はせいぜい小動物を傷つける程度の犯行しか経験していなかった,そのために人を殺害する大変さを知らなかったと考えられます。

 

以上,実行犯は殺人に関しては素人(刺殺ははじめて)であり,また共犯者として主犯が存在していたとしても,その共犯者も適切にアドバイス出来ていない時点で素人に近い二人組程度だと考えます。兵士や犯罪集団や強盗集団と行った,プロの犯人グループ的な犯人像は浮かんできません。

世田谷一家殺害事件 参考サイト

世田谷一家殺害事件について考察しているサイトをリンクしておきます。

 

■事件考察

■monazite氏のブログ。2015年から高頻度で更新されている。

setagayafamily.blog.fc2.com

ASKA氏のブログ。2005年頃より130回以上にのぼる世田谷一家殺害事件についての考察がアップデートされている。

disktopaska.txt-nifty.com

■kishi氏のブログ。2007年の2ヶ月間で休止してしまわれているが,2000年〜2007年までのニュース記事が豊富。

blog.goo.ne.jp

■事件録。

http://yabusaka.moo.jp/setagayaikka.htm

 

現場写真

現在,現場にはシートがかけられ,現場を訪れても事件当時の様子を窺い知るのが難しくなっている。2014年末まではシートがなかったため,過去の写真を掲載してくれているサイトを紹介する。

 

■世田谷一家殺害事件 現場 写真 2013(2chのボランティアによる現場探訪写真)

世田谷一家殺害事件 現場 写真 2013年12月
imgur.com

 

■海Cafe氏。2012年当時の写真。

umi-cafe2.at.webry.info

 

2chテンプレサイト

■警視庁(情報提供はこちらから)
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/jiken/jikenbo/seijo/seijo.htm
■世田谷一家殺害事件(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E7%94%B0%E8%B0%B7%E4%B8%80%E5%AE%B6%E6%AE%BA%E5%AE%B3%E4%BA%8B%E4%BB%B6
■世田谷一家惨殺事件(無限回廊)
http://www.maroon.dti.ne.jp/knight999/setagaya.htm
■世田谷一家殺人事件(オワリナキアクム)
http://yabusaka.moo.jp/setagayaikka.htm
■2000年12月30日 世田谷一家殺人事件(探偵ファイル)
http://www.tanteifile.com/dragnet/mikaiketsu/jiken/001_050/011_2000_12_30/index.html
■世田谷一家殺害 新たな犯人像(NHK, 2012/12, 顔見知り有力?)
http://www9.nhk.or.jp/nw9/marugoto/2012/12/1224.html
■きりぬき帳(2005年-2008年の世田谷事件報道)
http://zam.arrow.jp/NS/cat39/
■資料庫 世田谷一家4人殺害事件の各種報道記事ファイル(2000年-2006年の世田谷事件報道)
http://blog.goo.ne.jp/kishi_kishi/
■Yellow Hiro's TOPIC 世田谷一家殺害事件(2000年-2002年の世田谷事件報道)
http://www2.cc22.ne.jp/hiro_ko/2-123setagaya.html
■世田谷一家殺害:現場の住宅3D模型…捜査に活用 警視庁(毎日新聞, 2013/12 3D模型の写真多数)
http://mainichi.jp/graph/2013/12/18/20131218k0000e040211000c/001.html
■未解決事件 (世田谷一家惨殺事件現場の実寸大セット)
http://www.ne.jp/asahi/akutsu/m/mikaiketujiken.html