シトロエンの事件簿

未解決事件を推理します。特に世田谷一家殺害事件に注力しています。

世田谷一家殺害事件考察(4)アオキノブオと興信所

今回は,アオキノブオについて検証します。

 

モナザイト氏のサイトに以下の記述がありました。

2000年1月:アオキノブオはスタンガンを購入

2000年8月15日:アオキノブオ,興信所に宮澤みきおさんの住民票取得を依頼するも15万円の見積もりに躊躇し一回は断念した

2000年10月23日:アオキノブオと名乗る若いぞんざいな男(注:アンドウだと思われる),同じ興信所に2度目の連絡を寄越し現住所調査を依頼,今度は15万円がその日に振り込まれた。興信所は宮澤みきおさんの住所を調査し回答。

2000年10月26日:アンドウと名乗る若いぞんざいな男(注:声の主は若いぞんざいな男だが,今度はアンドウと名乗った),3度目の依頼で住民票の取得を依頼,追加で5万円の費用が必要だとの興信所の返事に対し躊躇するものの依頼。

 

2000年10月28日:翌日,アンドウと名乗る中年の男(注:以前スタンガンを購入したアオキノブオだと思われる)が興信所を訪れ,住民票と引き替えに謝礼を支払い。(総額20万円)

2000年10月28日:アオキノブオと名乗る若いぞんざいな男(注:アンドウだと思われる),本籍記載ありの住民票取得を依頼するも,追加費用が発生することが分かると,それ以降連絡が途絶えた。

実はこの興信所の所長は、事務所に訪れた アオキノブオ に見覚えがあったのだという。同事務所が経営する店舗で、2000年1月に、スタンガン を購入した男が、アオキ の名前で領収書の肩書きを書いたことを。

まぁ普通に考えて、一般人はスタンガンなんて購入しようとは思わないはず。すなわち2000年1月ぐらいには、犯罪の準備をアオキ自身初めていたということではないのだろうか。 気になるのは、この時も名前を アオキ という記していることだ。

事件はずっと前から始まっていた - 負け犬の遠吠え

いったんは15万円を支払わずに躊躇したことからも,8月15日の時点では,「宮澤家の住民票の価値<15万円」だったのでしょう。しかし,その後2ヶ月後には即金で支払っていることから,アオキノブオにとって「宮澤家の住民票の価値>15万円」と確信を持てる状況になったと考えられます。(あるいは8月にはすぐに工面できない金銭的状況にあり,2ヶ月かけて15万を用意したか。)

この8月15日〜10月23日までの間に宮澤さんの周囲で何か金銭にまつわる変化が起きたのではないでしょうか?(たとえば,東京都から支払われる予定の立ち退き金額が確定したとか,払込日が確定したとか,新居の目処が立って頭金を用意したなど。)

あるいは,アオキノブオ側の"都合”に変化が生じた可能性もあります。たとえば,年末までに数百万・数千万円の巨額の資金が必要となり,後に引けない状況に陥ったなど。

また,私はモナザイト氏の意見とは異なりますが,アオキノブオという名前は,犯罪用の偽名であり,日常的にこの偽名を用いての活動を行っていたと考えています。

 

 2chからの転載を以下に貼り付けるます。

597 :名無しピーポ君:2006/10/24(火) 18:24:53この問題のファイルは、調査事務所が作成した調査台帳である。分厚い台帳の中には、ある人物が事件直前に二度にわたって電話で依頼してきた、宮沢みきおさん、泰子さんに対する「身辺調査」の記録が残されていた……。
 一回目の依頼は一家惨殺事件が起こる五ヶ月前、二〇〇〇年八月十五日午後十二時十九分のことだった。
「杉並か、世田谷に住んでいる宮沢みきおという人物の自宅住所を知りたい。奥さんの名前は泰子。小さい子供が二人いる」
「歳は幾つぐらいでしょうか?」
「四十から五十歳だと思う。それから、お宅の調査料金はどれぐらいなのか?」
 八月十五日はお盆休みの最中で、調査事務所側に人手が足りず、依頼を受けるのは気が進まなかった。それで、通常より高めの料金を説明し、依頼者をあきらめさせようとしたという。
「十五万円前後ですね。お宅の名前は?」
匿名を希望したい。料金が結構、高いですなあ……」


住民票も取ってほしい

 この依頼人からの電話はあらかじめ番号非通知設定が施されていた。だが、調査事務所への調査依頼に匿名、非通知は珍しくないことだという。
 調査事務所側は調査のシステムを依頼人に簡略に説明した。
「料金をまず銀行へ振込んで頂かないと。ウチは銀行で入金を確認できてからでないと、調査を開始できませんので……。入金を確認次第、調査します。料金の振込み先はA信用金庫xx支店。普通口座○○○○。お宅の振込み名義は何ですか?」
「じゃあ、アオキノブオという名前で……」
 しかしその後、依頼人・アオキノブオから銀行への振込みはなく、この時点で宮沢さん一家の調査は実行されなかった。

598 :名無しピーポ君:2006/10/24(火) 18:27:07 事件が発生する二カ月前の十月二十三日午後十二時三十分。何の前触れもないまま、調査事務所に二度目の依頼が入った。
「夏ごろ調査をしてほしいと電話をかけた者だけど……」
 この日の依頼は八月十五日とまったく同じ内容だった。
 宮沢みきお、泰子夫妻の現住所を知りたいというものだ。
 依頼主の声色は若者という感じではなく、落ちついた中年男性風で、イントネーションや喋り口調は外国人のものとは思えなかった。
 そして今度はその日のうちに、八月の時点で伝えた調査謝金十五万円が、依頼人から指定の口座へ振込まれた。
 入金を受け、調査事務所はまず、杉並、世田谷の電話帳を捲り、「宮沢みきお」という名前を探した。二、三年前の古い電話帳を遡って調べると、あっさりと「該当者」が見つかった。

 同姓同名の可能性もあるので念のため、調査事務所は現地に調査員を派遣し、奥さんの泰子さんの名前が合致しているか、確認作業をしたという。
 約束した三日後の十月二十六日、再び依頼主から調査事務所に電話が入った。
 事務所は宮沢みきおさんの世田谷の住所などを報告して、その所在を明らかにしたが、ここで依頼人はさらなる調査を持ちかけてきた。
「宮沢みきおの住民票も取ってほしい。すぐにできないか?」
 調査事務所側は依頼人が、「本当に情報をほしがっている客である」と、すでに感づいていたという。なにしろ住所を調べるだけで、十五万円も気前よく振込んだ客である。事務所側はさらに調査費の追加料金を要求した。
「住民票を取るのであれば、別注になります。あと五万円の経費がかかりますね」
「結構するんだな……」。
 依頼人は少し考えた末に、取得を依頼。翌日、調査事務所で謝金と住民票を交換することになり、アオキは翌日事務所に現れた。


599 :名無しピーポ君:2006/10/24(火) 18:30:27 この時、事務所所長の脳裏にある記憶が蘇ったという。
「あれは、あの時の……」
 二年前の一月十九日。当時スタンガンを販売していたこの社長の元に、やはり青木と名乗るスーツを着て髪の毛を撫でつけた、
身だしなみのいい三十五歳から四十五歳の男性が訪れたことがあったのだ。その時に本人が名乗った名前が、青木XXで、事務所は領収書も発行していた……。
 社長は目の前の青木とその時の男が同一人物であるのがわかったという。
 ところが、住民票を渡した翌二十八日。再び、「青木」から調査事務所に電話が入った。
「今度は本籍を頼むよ」
 という依頼だったが、不思議なことに、明らかに昨日までの青木とは声が異なり、話し方ももっと若い男のぞんざいな口調に変わっていた。
「本籍が入ると高くなります……」
 と、事務所側が料金を説明すると、青木と名乗る人物から、その後、事務所に連絡の来ることはなかった。

 しかし、この「身辺調書」の記録は、宮沢さん一家が以前から何者かに狙われていたことを物語っている。


600 :名無しピーポ君:2006/10/24(火) 18:31:28 これまで、さまざまな犯人像がメディアで報じられてきた。しかし、いずれも憶測の域を出ず、現場に残された数々の証拠と犯人像は結びついていない。
 宮沢さん一家四人を殺害した手口そのものは、到底プロのものとはいえないものだった。ある捜査幹部は最近、
一部メディアで盛んに報じられている軍隊経験のある外国人の犯行説を苦笑しながら、きっぱり否定している。
「軍隊経験のある者、プロならば害者をあんなメッタ刺しにはしない。まず、逃げられないよう足のアキレス腱を切ったり、
頸動脈など致命傷を与える箇所を刺すはず。みきおさん、泰子さんの遺体には激しく抵抗した痕跡が残っていました。
軍隊でしか使用されない凶器や遺留品?そんなものは存在しませんよ」
 昨年末、公開された犯人の遺留品はどう見ても二十代から三十代の若者のものである。そして犯行現場の室内に残されたテニスシューズの足跡と、
逃走経路と見られる裏の公園の地面に残された足跡とは一致し、室内には至るところに指紋が多数残されていた。数々の物証は、単独の犯行であることを窺わせる。
「宮沢家の所在地は入組んだ場所にあり、土地鑑がなければまず狙わない。成城、世田谷区内には手に怪我を負った異常性格の若い男が必ず潜んでいる」
 だが、捜査本部のこの方針は、調査事務所サイドが実施した再三にわたる調査記録によって、大きく揺らぐことになった。
「土地鑑」は調査事務所の調査により、あらかじめ入念に準備されたものだった公算が高くなったのである。
 調査事務所が調査をした二カ月後の十二月二十七、二十八日、事件が起こった三十日午後。単独犯行説を否定するかのように、数々の目撃証言が寄せられ、供述調書が多数、残されている。


601 :名無しピーポ君:2006/10/24(火) 18:34:20 まず二十七日午後には、宮沢さん宅前の私道から家の様子を覗いていた不審な男性が目撃された。
翌二十八日昼過ぎ、タクシーで現場付近を周回していた不審な客がいたとの情報が寄せられている。
 事件当日の三十日午後五時過ぎ、バイクで宮沢さん宅へ配達にきた郵便局員が家の前の私道に黒いセダンが停まっていたのを目撃している。
 事件直近の不審者の目撃情報は同日午後十時半ごろ。宮沢さん宅の裏手にある仙川を挟んだ対岸の川沿いの側道を二人の不審な男が歩いていたのを、
犬の散歩をしていた住民に目撃されている。
 一方、宮沢みきおさんのさいたま市の実家の隣家にも三十一日の昼ごろ、奇妙な電話が掛かった。新聞社の者であると名乗った電話の声は、三十代から四十代の中年男性。
「ご近所の宮沢さんは何をしている人ですか?近所にビルはありますか?(そのビルの中に)事務所か何かが入っていませんでしたか」
 稚拙ともとれる犯人の行動にも謎は残る。犯行後、一階にあるみきおさんの書斎から書類を大量に持ち出し、浴室で物色。逃走直前まで、
パソコンを起動させて、みきおさんが「お気に入り」に登録していた会社関係のサイトなどに。アクセスを試みるなど、「通り魔的な物取り犯」にしては不可解な行動が多い。
 しかし、「土地鑑のある若い男の単独犯」説では交わることはなかった目撃情報と犯人の行動は、この調査事務所による調査という入念な”準備”によって繋がりつつある。
そこで成り立つ仮説は、宮沢さん一家が何らかのトラブルによってつけ狙われ、現場の下見が複数の人間により入念に行われたというものだ。
単独で宮沢さん宅に侵入した犯人は前科前歴のない若者であり、その目的は一家の殺害と、何かが記された書類、もしくは情報を探し出すことだった。


602 :名無しピーポ君:2006/10/24(火) 18:37:14 では一体、誰が、何のために宮沢さん一家を狙ったのか?
 依頼を受けた調査事務所は埼玉県内で配られる新聞に折り込み広告を入れ、静岡から新潟まで配達される全国紙の夕刊にも三行程度の広告を出したことがある。
調査事務所の所在地から、疑惑の依頼人の所在を絞り込むことは難しい。現在、「青木」を名乗る依頼人の手がかりは、
十月二十三日に調査事務所の口座へ十五万円が振込まれた際、作成された振込み伝票の情報だ。
その伝票には「会社のような名称」と「青木」とは別の名前、電話番号が記載されていたのである。
 電話番号は埼玉県内で実際に使用されていた個人名義のものだった。しかし不可思議なことに、事件が起こった一週間後、
この番号は「現在、使用されておりません」と通話不能になっている。
 電話の名義人の住所は埼玉県内のオフィスビルの一室にある。しかし、振込み伝票に記載されていた「会社のような名称」と、この部屋の現在の表札名は異なっている。
 実は、口数が少なく、仕事について家族にもほとんど話さなかった宮沢さんが生前、ある親しい知人にこう漏らしたことがあった。
「紙一重の仕事をしている」
 この謎めいた言葉は何を意味するのか?
 



603 :名無しピーポ君:2006/10/24(火) 18:42:15 小誌は先週号で、宮沢みきおさん一家が惨殺される二ヶ月前の二〇〇〇年十月、埼玉県内のある調査事務所を密かに訪れ、
宮沢さん夫妻の身辺調査を依頼した人物が存在していた事実をスクープした。
 この人物は当初、「アオキノブオ」と名乗り、調査料を振り込んで宮沢さんの住所を入手。続いて、住民票の取得を依頼したが、
結果を受取りに事務所を訪れた「アンドウ」と名乗る人物は、その名義での調査料の領収書を要求した……。
 調査事務所から、一部記録ファイルの任意提出を受けた警視庁捜査一課は、電話検索ソフトなどを用い、
全国の「アオキノプオ」という同姓同名の人物を割り出す捜査を行ったが、現時点でもまだ、該当人物には辿り着いてはいない。
 調査を依頼した人物は一体どんな人物なのか?なぜ、宮沢さん一家を”標的”に選んだのか?
 その謎を解く重要なヒントが隠されている調査事務所の全調査記録ファイルを小誌は入手した。
 このB5判の分厚いファイルには、調査事務所が引き受けた仕事の内容、接触してきた依頼者の周貌や声色、連絡先、さらに交わした会話などが、調査事務所の職員によって細か
く綴られている。さらに、この調査事務所の電話はナンバーディスプレイ(以下、ND)に対応しており、電話をかけてきた相手の番号が表示されるようになっている。ファイルにはその番号も記されていた。
 小誌が入手したこの調査ファイルの中から、宮沢さん夫妻に関係する内容を時系列に精査して、謎の依頼人の正体を追ってみたい。
 まず、最初に「アオキ」と名乗る人物が、宮沢さんの調査を依頼してきたのは、二〇○○年八月十五日のこと。NDの表示は非通知だった。


604 :名無しピーポ君:2006/10/24(火) 18:44:59警視庁に提出された調査データ

*八月十五日十二時十九分
《対象者はミヤザワミキオ。四十~五十歳ぐらい。妻の名はヤスコ。子供は二人で年齢性別はともに不明
 住所は都内在住で杉並?
世田谷?詳細は不明。
 調査内容は住所。在住者確認とFA(家族)構成である。
 依頼人はトクメイ希望。
 調査金十五万円の前払いを条件に受。振込み名義はアオキノブオ》 しかし、この時は「アオキ」から入金はなく、調査は実行されなかった。
 次の連絡は、二ヶ月後。
*十月二十三目十三時〇七分に着信。今回はNDに番号が表示される。048・XXX・○○○○。
《男はアオキノブオと名乗る。声は四十~五十代。外国人のイントネーションではない。調査依頼は八月と同じ。世田谷、杉並在住の宮沢みきおの住所。
【A銀行に十五万円の振込み確認。口座名義はフェイス(偽名と思われる)。連絡先は048・△△△・XXXX】
 十月二十六日十三時に再TEL入る。調査結果をQSP(報告)すること》
 このA銀行への振込みに際して書き込まれた連絡先の電話番号と、事務所のNDに表示された番号は、市外局番が同じだが、後はまったく異なる。
振込み時の連絡先電話番号を小誌は調べたが、その番号は、事件とは無関係であることがわかった。
 さらにNDに表示された電話番号を追跡していくと、発信場所はさいたま市内にあるインターネット・カフェのものであることが判明した。
 このカフェと宮沢さん事件との接点は、今のところ見当たらず、なぜ、この店の電話が利用されたのかは、わからない。
 調査ファイルに戻ろう。
 宮沢さんの住所の調査結果を問い合わせる電話は、依頼の三日後に入った。
*十月二十六日十二時四十九分に着信。NDの表示は「公衆電話」
「アオキ」と名乗る男からTEL。しかし、声は前回と異なり、明らかに若い。日本人である。不審感を持つが、二十三日に報告を約束した宮沢みきおさんの住所のみを報告する》
 宮沢さんの住所は当時、電話帳に掲載されていなかったが、事務所は過去の電話帳が検索できるCD-ROM(システム・ビット社製の九八年度版)を使用し、すぐに割り出しに成功。
このCD-ROMデータの一部は後に警視庁に提出されている。


605 :名無しピーポ君:2006/10/24(火) 18:46:44《アオキと名乗った明らかに別人の若い男は、続けて住民票が欲しいと依頼。この時、省略版(本籍の入っていないもの)を別注した。
 十月二十八日十三時に来社アポがこの若い男から入る》
 アオキと名乗った若い男とは、十月二十八日、調査料と引換えに宮沢さん夫妻の住民票を渡す手筈になった。ところが、その二十八日、一本の電話が入る。
*十月二十八日十二時三十六分 NDに電話番号が表示される。番号は048・●●●・XXXX。
電話の主は二十六日に「アオキ」と名乗った若い男。だが、今度はなぜか、「アンドウ」と名乗った。やはりミヤザワミキオの本籍が入った住民票がほしいと依頼してく
る。「追加の調査になるので別料金がかかります」と説明》
「アオキ」が「アンドウ」に変わったが、調査費用を支払うというのであれば、事務所にとって大きな問題ではなかった。
 小誌はこの時、ナンバーディスプレイに残された番号を追跡した結果、与野市ファミリーレストランの玄関に設置されたピンクの公衆電話であることをつきとめた。
 設置場所の店などが契約するピンク電話は受信も可能だ。ピンク電話からかけると、「公衆電話」ではなくその番号が表示される。
*同日十三時七分
《男が約束の時間に来社。しかし、電話の若い男ではなく、年齢は四十~五十歳。メガネにスーツ、マフラー姿》
 さらにここで、注目すべき記述がある。この来社した男について、ファイルにはこう記されているのだ。
《もしかして、一月十九日にGTH(スタンガン)を販売したアオキではないのか?横髪を整髪剤で固めた横柄な感じの男。
 しかし、今度は「アオキ」ではなく、「アンドウ」と名乗る。どういうことなのか?事前に電話を寄越した若い男とこの男とはどういう関係なのか?》
 この来社した「アンドウ」に対して、調査事務所はこの時、調査料(住民票代行取得費用として)五万円の領収書を発行し、その控えがファイルに張りつけられている。
この領収書の宛て先も「安藤様」と記された。アンドウは、事務所が入居しているオフィスビルから数十メートル離れた私鉄ガード下に、白っぽい車を駐めていた。
この車の助手席側に乗り込み、アンドウは4号バイパス方面へ消えた。


606 :名無しピーポ君:2006/10/24(火) 18:47:58 初めてアンドウと面会した調査事務所所長に、ある男の記憶がよみがえった。それが二〇〇〇年の《一月十九日》に事務所を訪れたという「アオキ」である。
 この日付の調査ファイルを捲ってみると……
1、
*二〇〇〇年一月十九日十三時三十分。
 眼鏡にスーツ、頼がこけた感じのやや痩せ気味の男がノックもせずに事務所にやって来る。横髪を整髪剤で固め、一見、紳士的な風貌。四十~五十歳
だが、対応した事務所の調査員は「少しズーズーしい」という印象を記録している。
 男は一万二百九十円の携帯型スタンガン(商品名「ゲキタイマン」)を購入。その場で包装を開け機能を確認。一万三百円を現金で支払い、「青木」の名で領収書を請求した。
アオキが車を駐めていた場所は、アンドウと同じガード下。アオキはやはり、4号バイパス方面に去っていった。
……一方、アンドウと名乗った年配の男は、今後の報告連絡先として048・○○○・△△△△という番号を言い残した。
 しかし、この「アンドウ」が残した連絡先を小誌が追ってい<と、これも別の公衆電話の番号であることが判明。
 この電話は、さいたま市のスーパーの中に置いてある緑の公衆電話の番号であった
 十月二十八日、事務所に連絡が入った時に使われたピンクの公衆電話、このアンドウの残した番号の緑の公衆電話。
現地で確認してみると、いずれの電話も表面には、番号を記したシールなどはない。
 あらかじめ、身元が判明しない公衆電話を調べた上で、連絡先に使ったものと思われる。
 この後、「アオキ」あるいは「アンドウ」と名乗った男たちからの連絡はとだえた。
 本籍地が入った住民票取得依頼についても、追加調査料金の振込みがないため、調査はされなかった……。
 この、宮沢さん夫妻を調べ上げていた、「アオキ」「アンドウ」と名乗った男たちの正体や意図は、何だったのか。


607 :名無しピーポ君:2006/10/24(火) 18:49:42 小誌は、やはり先週号で、宮沢みきおさんが、千代田区にあるコンサルタント会社を出てから、世田谷区にある自宅に帰りつくまで、空白の三、四時間があったと報じた。
 だが、こちらの方は新たな証言で、その一端が浮かび上がりつつある。帰宅が遅くなっていた理由は、宮沢さんに仕掛けられていたヘッドハンティングだったのである。
 昨年四月に日本支社を新設した外資コンサルタント会社が、宮沢さんを「役員格」で迎えると誘いをかけ、宮沢さんはこの申し出を受ける意向を固めていたようだ。
「事件直前の十二月二十六日ごろ、彼とランチを食べた時に、『そろそろ新しい仕事の動きが固まってきた』と話していました」(親しい知人)
 宮沢さんは会社を定時である午後五時半に出た後、頻繁に新会社のミーティングに参加していたのである。
 宮沢さんと親しい大手コンサルタント会社の幹部がこう話す。
「調査事務所に身元調査の依頼があったと報じられたのを読んだ時、最初は宮沢君の引き抜きの件の調査かと思いました。しかし内容を読んでみると、
自宅の住所を捜してくれ、というものでしょう。普通の会社では考えられないことですね。
 スカウトする場合、身元調査をやることはあるが、履歴書の職歴、学歴に嘘がないかを調べるもので、自宅の住所や住民票を調べるためだけに高額の調査料金を支払うような真似はしない。
おかしな話です」
 事件発生以来、捜査員は、「宮沢さんは副業をしていなかったか?何かトラブルはなかったか」と、宮沢みきおさんの周辺をあたった。しかし、
「この業界では副業は常識で引き抜きも日常茶飯事です。現に宮沢君と一緒に引き抜かれた社員は複数いるが、身の危険は何も起こってはいない。引き抜きで恨まれ、狙われたとは思えない」(同僚)
 誰が、何のために事件直前、宮沢さんの身元調査を依頼したのか。複雑に絡まった糸を一つ一つ解いていかない限り、犯人へと繁がる糸口は、いつまでも点のままでしかない。

608 :名無しピーポ君:2006/10/24(火) 18:56:23 小誌が三号にわたり報じてきた宮沢さん夫妻の身元調査を依頼した「アオキ」「アンドウ」と名乗った謎の人物、
そして調査会社に残っていた宮沢さん一家に関する記録ファイルの存在……。
 このファイルを元に現在、警視庁捜査一課のベテラン捜査員らが関係各所へ赴き、謎の依頼人の足取りを追う捜査を粛々と進めているが、
誰が、何のために宮沢さん一家を狙ったのか?という最大の”謎解き”にはまだ時間を要するようだ。
「実は事件が起こった二〇〇〇年十二月三十日までの一年間で、宮沢さん一家の住民票が当事者家族ではない複数の人物によって取得された形跡が区役所のパソコンに残っていた
しかし、様々な人物が複雑に関与しているようで、取得経路を確認する作業は難航している」(捜査関係者)
 警視庁は全国調査業協会に協力を依頼、その後、個別に調査会社もまわったが、取得経路の解明は進んでいない。
 警察庁関係者がこう述懐する。
「時効が成立した『グリコ・森永事件』でも誘拐前に江崎勝久社長の住民票が家族以外の何者かに取得された形跡が残っていました。
しかし、区役所の記録には偽名が書き込まれており、いくら辿っても一体、誰が江崎家の住民票を調べたのかを割り出すことはできぬまま、時効を迎えてしまった……」
 調査会社と依頼人との連絡に主に使用されたのは、さいたま市内に設置された公衆電話であることは、小誌の入手したファイルの記録からすでに判明している。
一月末、警視庁の捜査員が、使用された公衆電話のあるスーパーの管理事務所を訪ねている。


609 :名無しピーポ君:2006/10/24(火) 18:58:39 一方、小誌が先週号で宮沢さん一家事件と奇妙な”接点”があると報じた、
昨年五月二十三日、さいたま市で起こった岡部さん親子殺害放火事件の捜査も同様に難航している。
 この事件はこれまでも世田谷事件との類似が指摘されてきた。

複数の包丁を使用するなど殺害手口が似ていること。
●岡部さん一家には殺害に結びつくような動機が浮かんでこない……。
●殺害された娘の沙和佳さん(当時14)はパソコンを持っており、よく使用していた。

……現場から走り去る若い男が、複数の住民に目撃されたが、その正体は判明せず、八カ月が経過した現在、周囲からは早くも「迷宮入り」が囁かれている。
しかし、小誌が入手した宮沢さん一家の身元調査を請け負った調査会社のファイルにはこの放火殺人についても、ある人物からの奇妙な依頼が記録されていた。
父親と一緒に殺害された沙和佳さんは事件当時、私立の浦和ルーテル学院(初等部から高等部まで一貫教育)の中等部に在籍。
事件が起こる半年前と一力月前、調査会社に非通知の電話で「浦和ルーテル学院の中学の在校生名簿がほしい」という匿名希望の依頼があったことが記されているのである。
 そして、その依頼人の声は宮沢さんの本籍地入りの住民票取得を事件直前、依頼して言た「アンドゥ」と名乗る若い男の声とよく似ていた、とも記述されていた。