シトロエンの事件簿

未解決事件を推理します。特に世田谷一家殺害事件に注力しています。

世田谷一家殺害事件考察(3) 指紋について

 NHKの特番にて,犯人の物と思われる指紋が9個発見されたといいます。今回は指紋の謎について検討しましょう。

まず,指紋の個数と発見場所ですが以下の9カ所。

1)2階リビングのテーブルに2カ所
2)2階キッチンに1カ所
3)2階トイレの前の廊下に1カ所
4)1階納戸の棚の天面に1カ所
5)1階階段降りたところの床に1カ所
6)1階机のみきおさん用PCに2カ所
7)1階机の子供用PCに1カ所

ASKA氏(世田谷一家殺害事件再考その137(残された指紋): ASKAの事件簿 )

犯行当日家中を探し回った痕跡からすると異様に少ない指紋の数であることから,殺害実行時には犯人は手袋あるいはハンカチ等で指紋を残さないようにしていましたが,殺害実行後のどこかの時点でうっかり指紋を残してしまったというのが定説です。指紋の付着している場所からしても,犯人が家の中を荒らしたルートに沿って残っており,犯行当日の指紋だと考えて差し支えないでしょう。

 

初回訪問時の指紋が残っていないのは何故か?

ここで気になるのが,何故犯人の指紋が犯行当日のものしか残っていないのかです。

指紋が残る条件を調べてみたところプラスチックやビニール等に付着した指紋は2〜3ヶ月の期間残るらしいことが分かりました。

ガラス、プラスチック、ビニール、金属などは2~3ヶ月で指紋が消えてしまいます。また、屋外ですと、乾燥や直射日光による紫外線の影響で2~3週間で消えてしまいます。
さらに、雨に濡れてしまったりすると、すぐに消えてしまいます。

逆に紙類は、何十年でも指紋が消えずに検出することができます。しかし、これも直射日光のあたる場所やカビの生えるような湿気の多い場所ですと、おおよそ1~2年で消えてしまいます

http://kanshiki.com/faq/%E6%8C%87%E7%B4%8B%E3%81%AF%E3%81%A9%E3%81%AE%E3%81%8F%E3%82%89%E3%81%84%E3%81%AE%E6%9C%9F%E9%96%93%E3%81%A7%E6%B6%88%E3%81%88%E3%81%A6%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%86%E3%81%AE%EF%BC%9F/

 

ここで思い出されるのが,2011年末情報で公開された,スリッパから検出された犯人のDNAとの関係です。

平成12年12月、東京都世田谷区の会社員、宮沢みきおさん=当時(44)=一家4人が
自宅で殺害された事件で、宮沢さん宅のスリッパから、犯人のものとみられるDNA型が検出されていたことが28日、
捜査関係者への取材で分かった。事件当日、犯人は土足で室内を歩き回ったことが足跡などから確認されており、
警視庁成城署捜査本部は、犯人が事件前から宮沢さんと面識があり、
宮沢さん宅を訪れた際にスリッパを使った可能性があるとみて調べている。

 捜査関係者によると、捜査本部が、スリッパに付着していた皮膚や汗などの微物を鑑定したところ、
現場の床に付着していた犯人の血液のDNA型と一致することが確認された。

 現場には宮沢さんらの血液が付着した犯人の土足の足跡が多数発見されたが、
事件当日、スリッパで歩き回った跡は確認されておらず、
犯人は事件前に宮沢さん宅を訪れ、スリッパを履いた可能性があるという。

 また、犯人が現場に残したヒップバッグやトレーナーに付着していたインクやペンキの材料となる蛍光染料は、
宮沢さん宅の車庫にある木製収納家具にも付着。事件当時、犯人が車庫に立ち入った形跡はなく、
宮沢さんが染料を扱っていた事実も確認されていないことから、捜査本部は染料についても、
事件前に犯人が宮沢さん宅に出入りした可能性を裏付ける重要な証拠とみている。

 ただ、犯人は宮沢さん宅に侵入して一家を殺害した後、室内に長時間とどまり、
冷蔵庫の食品を食べるなど、異常な行動をしたことが確認されており、
捜査本部は、犯人が事件当時、ほかにも説明のつきにくい行動をとった可能性もあるとみて、慎重に捜査を続けている。

ソース:MSN産経ニュース2011年

 

 

 

事件当日にはスリッパを履いた痕跡がないとすると,

① みきおさん,泰子さんのどちらかと顔見知りで招待されて家の中に入ったことがある。

② 出入り業者として宮澤家の家電の修理や水道工事,あるいは保険の説明,不動産の紹介などを行ったことがある。

③ 公文式の塾の関係者,または父兄で家の中に入ったことがある。

④ 犯人が勝手に侵入した。(この場合,スリッパは履かないはずなのでこれは無い)

といった可能性が考えられます。④がないとすると,①②③のどれかすなわち「犯人は宮澤家を訪問したことがある」ことになります。この訪問時期がもし2000年10月以降であれば,思わぬところに指紋を残してしまうこともあり得たはずです。

しかし,実際には残っている犯人の指紋が全て犯行当日のものだとすると,「初回訪問時は,2000年10月より前だった」または「初回訪問時は部屋の中の物をべたべた触ったりしていない(程度の親しさであった)」と考えられます。

 

以上の考察より,犯人は,宮澤みきおさん・泰子さんとの仕事上のつきあいがあるか,出入り業者,またはちょっとした知人程度の人物であり,親しい人物ではないと考えます。