シトロエンの事件簿

未解決事件を推理します。特に世田谷一家殺害事件に注力しています。

世田谷一家殺害事件考察(5) 強盗の可能性

世田谷一家殺害事件は警視庁の正式名称では「上祖師谷三丁目一家4人強盗殺人事件」となっています。今回は強盗の線について考察してみます。

 

警視庁が"強盗殺人事件"としているのは,宮澤家から泰子さんが運営していた公文式の月謝20万円が盗まれたからだと思われます。ほかにも,クレジットカードが並べられていた,暗証番号の手がかりを探した痕跡があった,引き出しが下の段から順番に開けられていたなどの状況証拠があり,強盗の線で捜査していたためでしょう。

 

しかし,犯人は一家4人殺害という極刑をまぬがれない犯罪行為を犯していながら,手にしたのが僅か20万円というのは得たものが少なすぎます。仮に動機が「強盗」であるならば,現金20万円をはるかに上回る巨額の金・証書が目当てだったとしか考えられません。

 

また,

「実は事件が起こった二〇〇〇年十二月三十日までの一年間で、宮沢さん一家の住民票が当事者家族ではない複数の人物によって取得された形跡が区役所のパソコンに残っていた
しかし、様々な人物が複雑に関与しているようで、取得経路を確認する作業は難航している」(捜査関係者)

という報道がされており,宮澤家の素性(住所・本籍)を調べようとする人物の存在が浮かび上がってきます。この中で一件はアオキノブオとアンドウの二人組( 世田谷一家殺害事件考察 (4)アオキノブオと興信所 - シトロエンの事件簿 )であり,その他にも別の人物(集団または個人)が宮澤家にまつわる情報を調べていたことになります。

 

現在までのところ,宮澤家の住民票を取得した人物は個人情報を偽装しており,捜査の手が及んでいないと考えられます。複数の人物(アオキノブオとアンドウの二人組以外)が宮澤家を付け狙っていたことから,闇社会の中では「宮澤家には金がある」という噂が2000年当時に広まっていたということで間違いないでしょう。それも,金をかけて情報を収集しても,元を取れるだけの。

 

いつどういう経緯で「宮澤家の噂」が広まっていったか,その経緯を探ることで「強盗」の筋の犯人に近づけるのではないでしょうか。

■噂が広まった時期:「1998年,1999年に宮澤家の住民票を取得した,他人は存在したか?」もしいなければ,2000年頃に急に広まった噂であることが分かる。

■噂が広まった範囲:「情報取得者がどういう偽名・偽の住所を記載して住民票を取得したか?」

■住民票の用途:「複数の人物は,本籍あり/なしのどちらの住民票を取得したか?」

などが問いになります。

 

解決に期待しましょう。

 

※実際には宮澤みきおさんは世田谷から新居への引っ越しにかかる費用にあてるため,父親の宮澤良行さんに2000万円の借金を申し出ていたとのことなので,潤沢な資金があったとは考えられません。根も葉もない噂で付け狙われたということなら本当に不憫でなりません。